断熱材に覆われた電線の許容電流低下について
2025年4月から、省エネ基準の適合が義務化され、原則としてすべての新築建築物は省エネ基準に適合することが求められます。
住宅においては、その評価項目の一つとして外皮性能が定められており、結果として断熱等級4以上の性能を満たすことが必要になります。
このため、現在の新築住宅では、壁・天井・床などに断熱材が施工されていることが前提となっています。
一方、コンセントやスイッチまでの配線は壁内を通すため、電線が断熱材に沿って、あるいは断熱材に覆われた状態で施工されるケースも少なくありません。
断熱材に覆われた電線は周囲への放熱が妨げられ、電線温度が上昇しやすくなります。
電線の温度が上がるということは、安全に流せる電流、すなわち許容電流が低下することを意味します。
内線規程では、断熱材内に布設された電線の許容電流について直接的な数値規定はありません。
しかし、日本電線工業会ではこの点に着目し、断熱材が電線・ケーブルに与える影響について技術資料として公開しています。
技術資料の内容をかなり大まかにまとめると、
断熱材内に布設した場合、VVFケーブルの許容電流はおおよそ60%程度まで低下するという結果が示されています。
なお、技術資料内の実験では基底温度を20℃として評価されています。
ここでは一般的な住宅の断熱材入り壁内環境を想定し、基底温度30℃として参考計算を行ってみます。
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VVF 1.6-2C
許容電流 22A × 60% = 13.2A
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VVF 2.0-2C
許容電流 28A × 60% = 16.8A
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VVF 2.6-2C
許容電流 39A × 60% = 23.4A
一般的なコンセント回路の定格電流は15Aです。
この計算結果を単純に当てはめると、VVF1.6-2Cでは余裕がなく、VVF2.0-2C以上が望ましいという見方になります。
さらに余裕を持たせてVVF2.6-2Cを使用する場合、
15A専用コンセントには2.6mmの電線が接続できないため、15A・20A兼用のコンセントを使用する必要があります。
今回は許容電流の観点から整理しましたが、
断熱材による影響は熱的なものだけではなく、材料による化学的影響や、施工時の物理的な保護(配管の必要性など)も考慮する必要があります。
これらについては、別の機会に改めてまとめたいと思います。

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